電源が入らない症状は、原因が1箇所とは限りません。1つ直しても起動しないことがあり、切り分けに手間がかかりやすい故障です。今回ご紹介するのはPSP-3000の電源不良で、ICの腐食、電源スイッチの接触不良、バッテリーの劣化が経年で同時に進んでいた複合故障の事例です。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | PSP-3000 |
| 症状 | 電源が入らない。 |
| 経緯 | 経年劣化に伴う自然故障 |
初期診断:まず何を測るか
落下や水濡れのような分かりやすいきっかけはなく、経年による自然故障です。そのため、特定の1箇所ではなく複数の箇所が劣化している可能性を考えて診断を始めました。まず基板全体を目視で確認し、腐食がどこまで広がっているかを確認しました。あわせて、充電ケーブルとバッテリーのそれぞれで起動するかを比べる通電テストを行い、起動の可否を確かめました。
- 基板全体を目視で確認し、複数の箇所に腐食が出ていることを確認
- 電源スイッチまわりの汚れと、スイッチ操作時の反応を確認
- 充電ケーブル接続時とバッテリー接続時とで起動の可否を比較

処置内容
- 基板の腐食箇所をクリーニング
- クリーニングの途中で、基板の表面まで腐食が進んだICを見つけ、そのICを交換
- 接触不良が出ていた電源スイッチをクリーニングし、操作時の反応を回復
- 充電ケーブル接続時は起動するものの、バッテリー接続時は起動しないことを通電テストで確認
- 起動しない原因をバッテリーの経年劣化と判断し、バッテリーを交換


結果・動作確認項目
ICの交換、電源スイッチのクリーニング、バッテリーの交換を行い、充電ケーブル接続時とバッテリー接続時のどちらでも正常に起動することを確認しました。作業日数は3日です。充電ケーブルで起動した段階ではまだ半信半疑で、バッテリーだけで起動するのを見るまでは気を抜けませんでした。
- 充電ケーブル接続時の起動
- バッテリー接続時の起動
- 電源スイッチによる電源のオン・オフ
- 画面の表示
- 各ボタンの操作に対する反応
- 充電ケーブル接続時の充電動作
ご提案
今回の事例では「電源が入らない」という1つの症状の裏で、ICの腐食、電源スイッチの接触不良、バッテリーの劣化という複数の要因が重なっていました。発売から年数がたった機種では、1箇所を処置しても症状が残ることがあります。基板の腐食への処置と部品の交換を組み合わせ、給電の方法を変えて起動するかを確かめていくことで、重なった原因を1つずつ解消できます。
想定される依頼シーンとしては、①バッテリーやスイッチなどの部品を交換しても電源が入らない経年のゲーム機、②基板に腐食が見られ、どこまで処置が必要かを見極めたい端末の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに外注先を分ける必要がなく、基板修理の窓口を1社にまとめていただけます。
