2026/08/11

iPhone SE(第2世代) 電源不良・充電時リンゴループ|バッテリーコネクタ破損からの回路修復で復旧

バッテリーコネクタとパターンの破損箇所拡大

充電ケーブルを挿すとリンゴループになり、そのまま起動しない――外装や画面には目立った損傷がないのに電源が入らないケースは、貴店での切り分けが難しい症状のひとつです。今回ご紹介するのは、分解作業中にバッテリーコネクタ部分を誤って破損させてしまったiPhone SE(第2世代)の事例です。今回も、当店がどの箇所をどう測定し、何を根拠に処置したのかを公開いたします。

症状・お預かり時の状態

機種iPhone SE(第2世代)
症状電源が入らない。充電ケーブルを挿すとリンゴループ状態になる
経緯貴店での分解作業中に、誤ってバッテリーコネクタ部分を破損させてしまった個体としてお預かり

お預かり時、画面・外装には目立った損傷は見られず、水没や落下の痕跡もありませんでした。破損箇所はバッテリーコネクタ周辺に限定されており、コネクタ本体の傾き・浮きに加え、周辺の基板パターンにも損傷が及んでいる可能性がある状態でした。

初期診断:まず何を測るか

まずバッテリーコネクタ周辺のランド(パッド)を顕微鏡で確認したところ、コネクタのピンが数本折れ曲がり、隣接するランドが基板パターンごと浮いている箇所を確認しました。続いてバッテリー電源ライン(BATT+/BATT-)の導通をテスターで測定したところ、破損箇所より先で導通が取れておらず、電源経路そのものが断線していると判断しました。「コネクタが物理的に破損している=コネクタ交換のみで直る」と判断されがちですが、今回のようにランド剥離やパターン断線を伴うケースでは、コネクタを交換しただけでは電源は復旧しません。まず断線している範囲を先に特定することが必要です。

原因の特定プロセス

  1. 破損箇所を顕微鏡で確認し、コネクタ本体のピン折れとランド剥離の有無を目視で切り分け
  2. バッテリー電源ライン(BATT+/BATT-)の導通をテスターで系統ごとに確認し、断線箇所を特定
  3. 周辺のコンデンサ・抵抗の実装状態を確認し、二次的な部品破損がないかをチェック
  4. 断線しているパターンの引き出し位置を確認し、ジャンパー線でどこからどこまで復旧させるかのルートを設計

処置内容

  • 破損したバッテリーコネクタを取り外し
  • 損傷したランド周辺の絶縁膜を除去し、健全なパターンを露出
  • 断線区間をワイヤー線でジャンパーし、導通チェックをしながら1本ずつ接続
  • 新品のバッテリーコネクタを実装位置に合わせて再実装
  • 周辺をコーティング材で保護し、他端子への干渉がないかを確認

結果・動作確認項目

通電テストで正常に電源が入ることを確認し、充電ケーブル接続時に発生していたリンゴループも解消されました。作業日数は受領から1日(バッテリーコネクタは在庫部材を使用したため、部材仕入れ日数は0日)。以下は貴店からエンドユーザー様へそのままご報告いただける動作確認項目です。

  • 起動・OS動作(電源ボタンからの起動)
  • 充電ケーブル接続時の起動確認(リンゴループ再発なし)
  • バッテリー充電・放電
  • Wi-Fi・Bluetooth
  • Face ID・カメラ(前面・背面)

貴店へのご提案

今回のように、分解作業中に誤ってコネクタやフレキ、周辺の基板パターンを破損させてしまうケースは、部品交換をメインに行う貴店でも起こり得るトラブルです。「作業中に壊してしまったが、自店では手が出せない」という個体はもちろん、「バッテリー交換後に電源が入らなくなった」といった原因不明の不具合についても、診断のみのご依頼から承っております。iPhoneからAndroid・iPad・タブレット、ゲーム機、ノートPCまで幅広く対応しておりますので、外注先の窓口をまとめたい貴店は、お気軽に当店までご相談ください。