2026/08/20

iPhone 15 Pro Max 電源不良|水没による電源ライン深刻ショートを特定し起動復旧・データ救出

バッテリーコネクタとパターンの破損箇所拡大

電源が入らないiPhoneは、外装に目立った損傷がなくても「バッテリー交換だけでは直らない」ケースが少なくありません。とくに水没を経由した個体は、電源ラインの腐食やショートが基板の奥深くまで進行していることがあり、症状だけでは重症度を判断できないのが実情です。今回お預かりしたのは、水没後に電源が入らなくなったiPhone 15 Pro Max。分解してみると、電源ラインのショートが想定以上に深刻で、隣接する回路まで焼き切れている状態でした。本記事では、その切り分けと修復の根拠を、貴店にそのままご報告いただける形で公開します。

症状・お預かり時の状態

機種iPhone 15 Pro Max
症状電源が入らない(画面点灯なし・Appleロゴ表示なし・振動や発熱等の反応もなし)
経緯水没後に電源が入らなくなり、郵送にてご依頼

今回は外装にも腐食由来とみられる変色が見て取れるほど、水分による影響が大きい状態でした。分解してみると、バッテリーコネクタ周辺から基板端部にかけて白色〜茶色の腐食生成物が広範囲に付着しており、通電前に基板を本体から分離した時点で、目視でも容易に判別できるレベルの焼け焦げが確認できました。

初期診断:まず何を測るか

今回はまず、外装や基板の腐食状況を目視で確認するところから始めました。通電前に基板を本体から分離した段階で、電源ライン周辺に目視でも容易に判別できるレベルの焼け焦げが見つかったため、通電テストよりも先に焦げ付きの除去を優先する順序としました。焦げ付きを専用工具で少しずつ除去しながら、並行してテスターで抵抗値・導通を確認し、値が正常範囲に戻るかどうかを基準に除去範囲を見極めていきました。

原因の特定プロセス

  1. 通電前に基板を本体から分離し、外観の腐食・焦げ付き状況を確認。電源ライン周辺に目視でも判別できるレベルの焼け焦げが見つかる
  2. 焦げ付き箇所を専用工具で少しずつ除去しながら、並行してテスターで抵抗値・導通を測定
  3. 除去と測定を繰り返し、電源ラインの値が正常範囲に戻ったことを確認したうえで、回路修復の方針を検討
  4. 焼損が電源ラインだけでなく、通信系統にも及んでいることを確認。修復範囲の広さから、対応方針をあらためて整理

今回のように、外装の損傷が軽微に見えても内部の焼損が広範囲に進行しているケースもあるため、通電前の目視確認とテスターでの値の確認を並行して行うことが重要です。

処置内容

  • 焦げ付き箇所を除去し、テスターで正常値に戻ったことを確認した電源ラインを、顕微鏡下で極細のジャンパー線により再接続
  • 通信系統の損傷も確認されたが、範囲が広く全復旧には相応の費用と日数を要する状態だった
  • 貴店のご予算内に収めるため、起動に必要な範囲に絞って回路修復を実施し、電源投入・起動を確認
  • 起動後、内部データのバックアップを取得し、バックアップデータを納品物としてお渡し

結果・動作確認項目

電源投入でAppleロゴが表示され、OSの起動まで進行することを確認しました。ただし通信系統の損傷が広範囲に及んでいたため、今回はご予算内に収まる範囲で起動に必要な回路修復にとどめ、通信系統の機能については本復旧の対象外としています。起動確認後は速やかに内部データのバックアップを取得し、バックアップデータを納品物としてお渡ししました。作業日数は受領から3日(腐食・焦げ付きの除去とテスターでの値確認に1日、回路修復とバックアップ取得に2日。今回は在庫のジャンパー線材のみで対応できたため、部材の仕入れ待ちは発生していません)。

  • 電源投入・起動(Appleロゴ表示〜OS起動)
  • 内部データのバックアップ取得・納品

※通信系統の機能は、今回の修復範囲では対象外です。全復旧をご希望の場合は、あらためて診断のうえ別途お見積りいたします。

貴店へのご提案

今回のように、損傷が電源ラインだけでなく通信系統にまで及んでいるケースでは、全復旧を目指すと費用・日数の両面で負担が大きくなることがあります。想定される依頼シーンとしては、①水没を訴える端末で電源が入らず、バッテリー交換をしても症状が変わらない場合、②ご予算の都合で全復旧までは難しくても、まずは起動とデータの救出を優先したい場合の2つが挙げられます。当店では分解・通電せずに外観と症状のヒアリングのみで診断可否の一次判断を承ることも可能ですし、ご予算に応じて「まずは起動とバックアップまで」といった段階的な対応もご相談いただけます。iPhoneからAndroid・iPad・タブレット、ゲーム機、ノートPCまで幅広く対応しておりますので、外注先の窓口をまとめたい貴店は、お気軽に当店までご相談ください。

「まずこの基板を見てもらえるか聞きたい」という段階でもかまいません。症状や基板の写真を添えて、LINEからそのままご相談いただけます。

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