Wi-Fiに接続できない、あるいは接続してもすぐに切れてしまう。バッテリーやディスプレイのトラブルと違い、通信系の不具合は「そもそも何が原因か分かりにくい」という声を貴店からもよくいただきます。今回ご紹介するのは、目立った外的要因が見当たらないまま突然Wi-Fiが使えなくなったGalaxy Z Fold5を、当店で復旧させた事例です。この記事では、当店がどのように原因箇所を切り分け、何を根拠に「基板修理で対応可能」と判断したのかを、実際の作業内容とあわせて公開します。外注先の技術力を見極める材料として、ご活用ください。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | Galaxy Z Fold5 |
| 症状 | Wi-Fiのネットワーク一覧に自宅・店舗のSSIDが表示されない、または接続してもすぐに切断される。併せてBluetoothも周辺機器の検出・接続ができない状態。モバイル通信(回線)は正常に動作 |
| 経緯 | 落下・水没・分解歴等の心当たりはなく、ある日を境に突然Wi-Fiに接続できなくなった、いわゆる自然故障の個体 |
外装に破損や水濡れの痕跡はなく、ヒンジ部の開閉動作にも異常は見られませんでした。「通信系の不具合=基板交換一式」と判断されがちな症状ですが、当店ではまず障害箇所の切り分けから着手します。
初期診断:まず何を測るか
本体を分解し、まずヒンジ部を通過して両筐体をつなぐフレキシブルケーブルの断線・接触不良を疑い、導通チェックを実施しました。折りたたみ機種ではこのフレキシブルケーブルが故障の起点になるケースが非常に多いためです。しかし今回は導通・接触ともに異常なく、フレキシブルケーブル起因ではないことが確認できました。
続けてWi-Fi/Bluetoothモジュール周辺をDC安定化電源とベンチテスト治具で検証。Wi-Fiだけでなく、同じモジュールが担うBluetoothも同時に検出不可となっており、仕組みとして一般的に両機能が一つのモジュールに集約されていることから典型的な症状でした。
貴店で外注先を選定される際も、「Wi-Fiと同時にBluetoothも不調になっている場合、アンテナではなくフレキシブルケーブルや基板の故障を疑えるか」は、技術力を判断する具体的な基準になります。
原因の特定プロセス
モジュール周辺の電源ライン・信号ラインを一つずつ導通・抵抗値チェックしましたが、ショートや抵抗値の異常は見つかりませんでした。基板側の回路自体は健全で、Wi-Fi/Bluetoothモジュール本体の内部不良という、この機種特有の故障モードであることが分かりました。以下の手順で切り分けを行っています。
- ヒンジをまたぐフレキシブルケーブルの導通・接触チェックを実施し、断線がないことを確認
- 基板側のモジュール接続端子・電源ライン・信号ラインを個別に導通・抵抗値チェックし、異常がないことを確認
- 正常な予備モジュールを一時的に接続し、Wi-Fi/Bluetoothが復旧するかを検証
- 交換により症状が解消したことから、モジュール本体内部の故障と特定
「ショートや抵抗値の異常が見当たらずCPUの異常」と判断されるケースもありますが、今回のようにモジュールチップの内部不良が原因になっていることもあります。貴店が「原因不明」として対応を見送ってきた案件も、経験や知識を駆使することで復旧できる可能性があります。
処置内容
- Wi-Fi/Bluetoothモジュールを取り外し、基板側のコネクタ・パターンに損傷がないことを確認
- この機種に対応する新品のWi-Fi/Bluetoothモジュールを仕入れ、位置ズレなく実装
- ヒンジをまたぐフレキシブルケーブルの接続を再度確認し、導通チェックを実施
- 実機での通信テストを実施し、Wi-Fi・Bluetoothともに復旧したことを確認
結果・動作確認項目
交換後、Wi-Fiのネットワーク一覧に周辺のSSIDが正常に表示され、Bluetoothも周辺機器の検出・接続ができることを確認しました。作業自体は1日で完了しましたが、この機種に対応する交換用モジュールの仕入れに1週間ほどかかったため、お預かりから納品までは仕入れ期間と郵送期間を含めた日数が必要でした。
動作確認項目は以下の通りです。貴店からエンドユーザー様へご報告いただく際にも、そのままご活用いただけます。
- 起動・OS動作
- Wi-Fi接続・通信の安定性
- Bluetooth
- ヒンジ開閉・ディスプレイ表示
- バッテリー充電・放電
いずれも異常なし。
貴店へのご提案
「外的要因が見当たらないのに突然通信できなくなった」という自然故障のケースは、原因の切り分けを行わないまま基板一式交換や修理不可の判断につながりがちです。今回のように、フレキシブルケーブルやモジュールなどどこに原因があるかを切り分け、電源・信号ラインの実測を組み合わせることで、ピンポイントでの復旧が可能になるケースは少なくありません。
- 店頭で「原因不明のため対応不可」とお伝えせざるを得なかった案件
- 他の外注先から「基板一式交換」の見積りが返ってきた案件
こうした案件も、セカンドオピニオンとして一度当店にご相談ください。診断のみのご依頼にも対応しており、復旧不可の場合の判断根拠も、貴店がお客様にご説明いただけるレベルでご報告します。
iPhoneに限らず、Android・iPad・タブレット・ゲーム機・ノートPCまで窓口を一本化したいという貴店のご要望にも対応可能です。まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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