2026/09/10

Galaxy A53の電源が入らない|1.8VラインのショートはNAND自体の内部ショートで復旧不可と判断

電源が入らない端末は、バッテリーを交換して改善すればそこで終わりますが、改善しなかった場合はその先が基板側の話になり、外注に出すか返却するかの判断を迫られます。今回は、エンドユーザーが誤って本体を踏んでしまったことをきっかけに電源が入らなくなったGalaxy A53を、同業の修理会社様からお預かりして基板を診断した事例です。結論から書くと、1.8Vラインのショートの発生元はNAND自体で、復旧には至りませんでした。

症状・お預かり時の状態

機種Galaxy A53
症状電源が入らず、バッテリーを交換しても改善しない。
経緯エンドユーザーが誤って本体を踏んでしまったことがきっかけの基板診断のご依頼

ご依頼元の修理会社様ではすでにバッテリー交換を試されており、それでも電源が入らなかったため、基板側の診断ということで当店へお送りいただきました。踏まれたという経緯がはっきりしているため、基板のどこかに物理的な影響が出ている前提で診断を始めました。

初期診断:まず何を測るか

  1. バッテリーのコネクタを外し、DC安定化電源をバッテリーコネクタに接続して電流の入り方を確認しました。電源ボタンを押していない状態から電流が流れ込み、起動の過程で本来現れるはずの電流の変化が出てこないため、いずれかの系統でショートが起きていると判断しました。
  2. 基板を本体から取り外し、各系統の抵抗値をテスターで確認しました。踏まれた個体という経緯から、まずは物理的な影響を受けやすい箇所を中心に見ていったところ、NAND周辺の1.8Vラインが他の系統と比べて極端に低い値を示しました。
  3. 通電した状態で発熱の出方を確認し、熱源を探しました。周辺の部品ではなく、NAND自体が発熱していました。

基板を取り外した時点で、横から見るとわずかに反っているのが分かりました。踏まれた影響がそのまま形に残っている状態です。この段階では反りとショートの関係までは断定できないため、あくまで熱源を頼りに絞り込みを進めています。

処置内容

  1. 発熱していたNANDとその周辺を顕微鏡で確認しました。周辺の部品側に熱の集中は見られず、NAND自体が熱を持っていました。
  2. 切り分けのため、NANDを基板から取り外しました。
  3. 取り外した状態で1.8Vラインの抵抗値を再度確認したところ、ショートは解消していました。基板側ではなくNAND自体の内部でショートが起きていたと判断できます。
  4. NAND自体の故障であるため、これ以上の処置は行わずに作業を終了しました。

熱源がNANDにたどり着いた時点で、正直なところ手が止まりました。基板側のショートであれば処置の余地はありますが、NAND自体の故障となると打つ手がなく、力及ばずという結果です。

結果・動作確認項目

  • 1.8Vラインのショートは、NANDを取り外した時点で解消した
  • ショートの発生元はNAND自体の内部であると特定できた
  • NAND自体の故障のため、当店での復旧は不可と判断した
  • 基板には踏まれた影響による反りが見られたが、今回の電源不良の直接の発生元はNANDだった
  • 診断から結論を出すまでの作業日数は1日

ご提案

基板修理では、パターンが切れていても、部品がショートしていても、腐食が進んでいても、CPUとNANDさえ無事であれば復旧できるケースが多くあります。逆に言えば、今回のようにNAND自体が内部でショートしている場合は、周辺をいくら整えても電源は入りません。ここは技術でどうにかできる範囲を越えたところで、基板修理の限界にあたる部分です。ただ、そこまで切り分けておけば「基板修理でも直らない個体」だと確定でき、エンドユーザーへの返却判断を先延ばしにせずに済みます。想定される依頼シーンとしては、①落下や踏みつけなど物理的な衝撃を受けた個体で、外観からは損傷箇所が特定できないもの、②電源が入らず、バッテリー交換を試しても改善しないもの、の2つが挙げられます。技術的に対応可能な切り分けをあらかじめ実施いただいたうえでご依頼いただけますと、こちらでの診断もスムーズに進みます。診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。窓口を1社にまとめていただくことも可能です。

修理のご相談や料金はホームページでご確認いただけます。お問い合わせは公式サイトの問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

「まずこの基板を見てもらえるか聞きたい」という段階でもかまいません。症状や基板の写真を添えて、LINEからそのままご相談いただけます。

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