電源が入らないという症状は、バッテリーを新品に替えても反応がないところで手が止まりやすい症状です。充電系なのか電源系なのか、それとも先の回路なのか、外から見ているだけでは切り分けの取っかかりがありません。今回は、依頼元でバッテリー交換を試したものの改善しなかったGoogle Pixel 7をお預かりし、メイン電源系統のコンデンサが内部でショートしていた事例をご紹介します。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | Google Pixel 7 |
| 症状 | 電源が入らず、バッテリー交換でも改善しない。 |
| 経緯 | きっかけとなる出来事はなく、気づいた時には電源が入らなくなっていたとのこと |
初期診断:まず何を測るか
- 端末まるごとの状態でお預かりしたため、当店で分解して基板まわりにアクセスできる状態にします。
- バッテリーのコネクタを外し、DC安定化電源をバッテリーコネクタに接続して電流の入り方を確認します。電源不良ではここが最初の工程で、この段階では基板を端末から取り外す必要はありません。
- 通電したところ、電源ボタンを押していない状態でも電流が流れ込むショート状態を確認しました。バッテリー交換で改善しなかった理由もここで説明がつきます。
- ショートの反応の出方から、まずはメイン電源の系統ではないかと見当をつけます。ここは経験からの当たりを付ける工程で、確定ではありません。
- 基板を端末から取り外し、テスターで該当系統の抵抗値を測定します。予想どおり本来あるべき値から大きく外れており、見当が裏付けられました。
- 同じ系統には部品が多数ぶら下がっているため、通電した状態にして発熱の出方を確認し、熱を持つ1点のコンデンサを特定しました。
この手の故障は珍しくもなんともないので、正直あまり身構えずに測り始めるのですが、今回も想定どおりの場所で素直に見つかってくれました。

処置内容
- 特定済みのコンデンサを、周囲の部品に熱が回らないよう温度と時間を管理しながら基板から除去します。
- 今回のコンデンサは、実装されていなくても動作に支障が出ないタイプの部品だったため、新品の部品は実装せず除去のみとしました。
- 除去後に顕微鏡で部品の周囲を確認し、取り外し時の熱やこてによる周辺へのダメージがないことを見ておきます。
- 再度テスターで該当系統の抵抗値を測定し、正常な値に戻っていることを確認します。

結果・動作確認項目
- ショート解消後、DC安定化電源で通電し、電流の入り方が正常な挙動に戻っていること
- 電源ボタンの操作で起動し、起動画面が表示されること
- 起動の過程で電流が止まらず、OSの立ち上がりまで進むこと
- 組み上げた状態でバッテリーから起動し、充電も行えること
- 一定時間通電しても、処置箇所およびその周囲に異常な発熱がないこと
作業日数は1日でお返しできました。ショートが1点で完結している案件は、こちらとしてもいちばん気が楽です。

ご提案
電源系統のコンデンサが内部でショートする故障は、Pixel 7に固有のものではなく、スマートフォンでもタブレットでもゲーム機でも機種を問わず起きるタイプの故障です。外から見えるダメージがないため、バッテリーの劣化や充電系の不具合と見分けがつかないこともありますが、バッテリーコネクタに安定化電源をつないだ時点でショートかどうかははっきりします。今回のように新品の部品を載せ直さずに除去だけで完結する場合もあり、部品調達を待たずに復旧できるのもこのタイプの故障の特徴です。技術的に対応可能な切り分けは、あらかじめ実施いただいたうえでご依頼いただけますと診断がスムーズです。
想定される依頼シーンとしては、①バッテリーや充電口などの部品交換を試したものの電源が入らないままで、基板側の可能性が残っている案件、②電源が入らない原因がどの系統にあるのか切り分けが進まず、そもそも修理が成立するか判断したい案件、の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに外注先を分ける必要がなく、基板修理の窓口を1社にまとめていただけます。
修理のご相談や料金はホームページでご確認いただけます。お問い合わせは公式サイトの問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
