電源が入らない症状は、外から見ただけでは原因の見当がつけにくい症状のひとつです。今回は修理会社様からお預かりしたiPad 10の電源不良で、原因は補助電源であるVDD_BOOSTのICショートでした。よくある基板故障の一例として、診断から処置までの流れを簡単にまとめます。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | iPad 10 |
| 症状 | 電源が入らない。 |
| 経緯 | 自然故障 |
初期診断:まず何を測るか
電源が入らない基板では、まず電流の入り方を確認し、そこから原因箇所を絞り込んでいきます。
- バッテリーのコネクタにDC安定化電源をつなぎ、電流の入り方を確認しました。
- テスターで抵抗値を測定し、ショートが疑われる箇所を絞り込みました。
- 通電した状態でサーマルカメラを当てて発熱箇所を確認したところ、本来は発熱しないはずの補助電源系統のICが高温になっており、このICのショートと特定しました。


処置内容
原因の箇所を特定できたため、以下の手順で処置しました。
- ショートしていたVDD_BOOSTのICを取り外しました。
- 交換用のICを取り付けました。
- DC安定化電源で通電し、電流の入り方を確認しました。

結果・動作確認項目
ショート解消後、以下の項目で動作を確認しています。原因が1か所に絞れていた分、交換後はあっさり片付いた印象です。
- 電源の起動
- 画面表示とタッチ操作
- 充電の認識
- 発熱と消費電流の推移
ご提案
電源が入らない症状でも、今回のように補助電源系統のIC1点のショートが原因ということがあります。電流の入り方、抵抗値、発熱箇所と順に見ていけば場所は絞り込めるので、処置自体はIC1点の交換で済んだ、というのが今回のパターンです。
想定される依頼シーンとしては、①バッテリーや充電まわりの部品を交換しても電源が入らないiPadの基板診断、②電源不良の端末について、基板側に原因があるかどうかを先に確認しておきたい場合、の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに依頼先を分けることなく、基板修理の窓口を1社にまとめていただけます。
