充電ケーブルを挿しても充電されない症状は、一見するとケーブルや充電口まわりの不具合に見えます。ただ実際には、基板側の電力レールにショートがあり、そこで充電が止まっているケースもあります。今回ご紹介するのは、iPad Pro 12.9inch 第3世代で起きた充電不良です。原因はUSB Type-Cを制御するICを動かす電力レールのショートで、チップコンデンサの内部ショートによるものでした。この系統ではよくある故障の一つです。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | iPad Pro 12.9inch 第3世代 |
| 症状 | 充電ケーブルを挿しても充電されない。 |
| 経緯 | 自然故障 |
初期診断:まず何を測るか
- バッテリーのコネクタを外し、コネクタにDC安定化電源をつないで電流の入り方を確認しました。正常な基板なら起動に合わせて電流が推移していきますが、今回はその推移から外れた入り方で、基板上のどこかにショートがある疑いが出てきました。
- テスターで各電力レールの抵抗値を測って絞り込みました。USB Type-Cを制御するICを動かす電力レールだけが、本来あるはずの抵抗値を示していませんでした。
- 基板に通電した状態で、そのレール上の発熱の出方を確認しました。チップコンデンサの1か所で熱の集中が見られ、このコンデンサの内部ショートが原因だと特定しました。

処置内容
- 診断で特定した、USB Type-Cを制御するICを動かす電力レール上のチップコンデンサを基板から除去しました。
- 除去後、この電力レールのショートが解消されたことを確認しました。

結果・動作確認項目
ショート解消後、次の項目で動作を確認しました。
- 電源の起動
- 画面表示とタッチ操作
- 充電の認識
- 発熱と消費電流の推移

よくある故障とはいえ、充電中のアイコンが表示されたのを見たときはやはりほっとしました。
ご提案
USB Type-Cを制御するICまわりの電力レールでは、チップコンデンサの内部ショートはよくある故障の一つです。充電不良は一見、充電口やケーブルなど部品側の問題に見えます。しかし実際には基板上の電力レールのショートが原因のケースもあるため、電流の入り方と抵抗値を測ると原因を切り分けやすくなります。
想定される依頼シーンとしては、①充電口まわりの部品を確認しても充電されない端末の原因を切り分けたいとき、②部品交換を行っても充電不良が改善しなかったときの2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに依頼先を分ける必要がなく、基板修理の窓口を当店1社にまとめていただけます。
