2026/09/21

iPhone 15 Pro 電源不良|VDD_MAINのショートをコンデンサ除去で復旧

電源が入らなくなった端末は、バッテリーを交換しても改善しなかった時点で対応の手が止まりやすい症状です。今回お預かりしたiPhone 15 Proも、落下や水没の心当たりがない自然故障の個体で、ご依頼元様でバッテリーを交換されたものの改善が見られず、基板診断としてお送りいただきました。結果はVDD_MAIN系統のショートで、使用方法に問題があったわけではなく、電源不良のなかでもとくに頻度の高い故障パターンです。基板故障のなかではポピュラーな部類に入る事例のため、今回は軽めに手順をご紹介します。

症状・お預かり時の状態

機種iPhone 15 Pro
症状電源が入らない。電源ボタンを長押ししても反応がなく、画面点灯・振動のいずれも見られない。
経緯自然故障で、ご依頼元でのバッテリー交換でも改善せず、基板診断のためのご依頼

外装に目立った損傷はなく、基板を確認しても焼損や腐食といった分かりやすい異常は見当たりません。

初期診断:まず何を測るか

電源が入らない症状は、まずバッテリーのコネクタを外し、DC安定化電源を直接つないで電流の入り方を確認するところから始めます。今回は通電直後から電流が異常な水準で頭打ちになり、そこから上昇しない挙動が確認できました。バッテリー単体の劣化ではこの挙動は説明がつかないため、基板側の電源系統でショートが起きていると判断し、原因の絞り込みに進みました。

  1. バッテリーのコネクタを外し、DC安定化電源を直接つないで電流の入り方を確認する
  2. 電源不良で頻度の高い系統に見当をつけ、テスターで抵抗値を確認しながらショートしているラインを絞り込む
  3. 通電した状態で発熱の出方を確認し、熱が集中する箇所を特定する
  4. 特定した箇所の周囲を導通チェックし、VDD_MAIN系統でのショートと確認する

VDD_MAINは電源の大元にあたるラインで、ここがショートすると電源そのものが立ち上がりません。発熱が集中していた箇所を確認すると、周辺のチップコンデンサが内部でショートしていました。外観には割れや変色などの異常がなく、測定をしなければ気づけないタイプの不良です。正直、見た目だけでは判断がつかない部品だっただけに、測定結果が出るまでは半信半疑でした。

処置内容

原因の部品が特定できたため、以下の手順で処置しました。

  1. ショートしていたチップコンデンサを除去する
  2. 除去後、基板パターンや周囲の部品に損傷がないことを確認する
  3. 再度導通チェックを行い、VDD_MAIN系統のショートが解消していることを確認する
  4. 仮組みの状態で通電し、電流の入り方が正常に戻っているかを確認する

今回除去したのは電源ラインに並列で入るバイパスコンデンサにあたる部品で、同じ役割の部品が周囲に複数配置されているため、1つ除去した状態でも動作に支障はありません。新たな部品は載せず、除去のみで処置を終えています。

結果・動作確認項目

処置後、電源投入で正常に起動するようになりました。基板パターンの損傷はなく、再生などの追加作業は発生していません。お返しする前に、次の項目を確認しています。

  • 電源の起動(複数回の再起動テストを含む)
  • 画面表示とタッチ操作
  • 充電・USB接続の認識
  • 電波の受信状態
  • 一定時間通電した状態での発熱・消費電流の推移

ご提案

VDD_MAINのショートは、電源不良の原因のなかでもとくに頻度の高いパターンのひとつです。今回のように使用方法に特別な問題があったわけではなく、経年や個体差の範囲で起きる故障のため、機種を問わず起こり得ます。原因部品さえ特定できれば処置自体は短時間で終わり、復旧後に同じ箇所が再発するおそれもほとんどありません。

想定される依頼シーンとしては、①バッテリーを交換しても電源が入らない案件、②外装にも基板にも見える異常がなく、原因の切り分けから任せたい案件、の2つが挙げられます。技術的に対応可能な切り分けは、あらかじめ実施いただいたうえでご依頼いただけますと診断がスムーズです。

診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに外注先を分けずに済むため、窓口を1社にまとめていただけます。

修理のご相談や料金はホームページでご確認いただけます。お問い合わせは公式サイトの問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

「まずこの基板を見てもらえるか聞きたい」という段階でもかまいません。症状や基板の写真を添えて、LINEからそのままご相談いただけます。

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