「電源が入らない」とご依頼いただく端末でも、実際に確認してみると電源自体は入っている、というケースがあります。今回お送りいただいたiPhone XRもそのひとつで、原因はNANDの割れでした。残念ながら復旧できなかった事例ですが、診断の流れと、エンドユーザー様へのご説明に役立ちそうなポイントをまとめておきます。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | iPhone XR |
| 症状 | 電源不良との申告だったが、実際には電源は入っている。 |
| 経緯 | 強い衝撃を受けたとのことで、基板診断からのご依頼 |

初期診断:まず何を測るか
- ご申告は電源不良でしたが、まずは電源の状態を確認しました。すると、実際には電源は入っている状態でした。
- 次にパソコンへ接続したところ、DFUモードとして認識されました。
- この状態は、端末がNANDを認識していない場合に多く見られるため、NANDに目星をつけて確認を進めることにしました。


処置内容
DFUモードの表示から目星をつけたNANDを、目視で確認していきました。
- 基板上のNANDの状態を確認しました。NANDはパソコンでいうハードディスクにあたる部分で、システムやユーザーデータが入っているチップです。
- NANDを横から見たところ、チップに割れが入っているのを確認しました。
- NANDが破損するとデータ復旧は不可能なため、今回は復旧不可と判断しました。


結果・動作確認項目
NANDの割れにより、今回は復旧不可という結果になりました。割れを見つけたときは中のデータのことを考えて残念な気持ちになりましたが、確認できた事実をそのままお伝えするしかありません。
- 電源は入っている
- パソコン接続でDFUモードとして認識される
- NANDに割れを確認
ご提案
今回の事例から言えるのは、ご申告が「電源不良」でも実際には電源が入っているケースがある、ということです。パソコンに接続してDFUモードになる場合は、NANDを疑うひとつの手がかりになります。NANDが破損するとデータ復旧は不可能なため、強い衝撃を受けた端末については、事前にその可能性をエンドユーザー様へお伝えいただけるとご説明がスムーズかと思います。
想定される依頼シーンとしては、①強い衝撃の後に「電源が入らない」とご相談を受けた端末の切り分け、②電源は入るようだが画面が映らず起動しない端末の確認、の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに依頼先を分けずに、窓口を1社にまとめていただくことも可能です。
