電源が入らない端末は、外から見える手がかりが少なく、原因がどこにあるのかを絞り込むまでに時間がかかりやすい症状のひとつです。今回はご依頼元の修理会社様から電源不良のiPhone 14(A2882)をお送りいただき、通信系統を司るRF基板側で発生していたVDD_MAINのショートを特定し、ショートしていたコンデンサの除去によって起動まで復旧しました。同じVDD_MAINでも厳密にはいくつかの回路に分かれており、ショート箇所を探すには少々手間がかかります。その絞り込みの過程を含めてご紹介します。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | iPhone 14 |
| 症状 | 電源が入らない。 |
| 経緯 | 自然故障 |
自然故障の個体で、電源が入らない状態でお送りいただきました。ここからは、診断から処置、動作確認までの流れを順にご説明します。
初期診断:まず何を測るか
電源不良の診断では、まず電源ラインに異常な電流が流れていないかを確認するところから始めます。今回は確認の結果、VDD_MAINのショートが疑われたため、そこから箇所の絞り込みに進みました。
- バッテリーのコネクタを外し、DC安定化電源から給電して電流の流れ方を確認しました。正常な状態での挙動とは異なる電流の流れ方が見られ、VDD_MAINのショートが疑われました。
- テスターで各所の抵抗値を確認しながら、ショートしている範囲を絞り込みました。RF基板側のVDD_MAINは回路が複数に分かれているため、どの回路で異常が出ているのかを一つずつ確かめる必要があり、この絞り込みに手間がかかりました。
- 絞り込んだ範囲に通電し、発熱の出方を確認して、ショートしているコンデンサを特定しました。
処置内容
特定した箇所に対して、ショートの原因となっていた部品を取り除く処置を行いました。
- 初期診断で特定した、RF基板上でショートしていたコンデンサを除去しました。
- 新しいコンデンサは実装せず、除去のみで処置しました。
結果・動作確認項目
ショート解消後、以下の項目を確認しました。電源を入れて画面が表示されたときは、正直ほっとしました。
- 電源の起動
- 画面表示とタッチ操作
- 充電の認識
- 発熱と消費電流の推移
ご提案
今回の事例からは、同じVDD_MAINのショートでも、回路が複数に分かれていてショート箇所の特定に手間がかかるRF基板側の故障もある、ということが言えます。電源不良の原因が見えにくい端末ほど、基板の状態を確認する価値があると考えています。
想定される依頼シーンとしては、①電源が入らない端末で、基板側の原因の切り分けが必要な場合、②原因の特定までに手間がかかりそうな端末を、基板修理の対応先へまとめてお任せしたい場合の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに依頼先を分けることなく、基板修理の窓口を1社にまとめていただけます。
