水没した端末は、起動しない原因が一か所とは限らず、どこまで復旧できるかの見通しが立てにくい症状です。今回は、重度の水没で起動しなくなったiPad 5(A1823)について、基板全体のクリーニングと充電回路のコントローラICの交換を行い、データのバックアップが取れる状態まで復旧した事例をご紹介します。
症状・お預かり時の状態
| 機種 | iPad 5 |
| 症状 | 起動しない。 |
| 経緯 | 重度の水没 |
初期診断:まず何を測るか
まずは基板の状態を目で確かめるところから始めました。
- 基板を目視で確認したところ、水没による腐食が見られ、基板の表面まで腐食が達している箇所がありました。
- 基板全体をクリーニングした後は起動するようになりましたが、充電ができなかったため、充電回路に原因があると考えました。



処置内容
診断の結果をふまえて、次の2つの作業を行いました。
- 基板全体をクリーニングし、水没による腐食や汚れを取り除きました。
- 充電回路のコントローラICが故障していたため、このICを交換しました。



結果・動作確認項目
IC交換後は、タッチ操作、画面表示、充電といった、データのバックアップを取るために最低限必要な機能が動作するようになり、操作できる状態で納品しました。重度の水没だったので、操作できるところまで戻せるかどうかは、私としても作業を進めるまで読めませんでした。ただし、写真のとおり画面には紫がかった色ムラや表示の乱れが残っており、完全に元どおりになったわけではありません。今回はあくまで、バックアップが取れる状態までの復旧です。
- タッチ操作ができる
- 画面が表示される(紫がかった色ムラ・表示の乱れは残る)
- 充電できる

ご提案
今回の事例のように、水没では腐食が基板の広い範囲に及ぶことがあります。また、クリーニングで起動するようになっても、その後に充電回路などの故障が見つかる場合もあります。完全な復旧が難しい状態でも、データのバックアップが取れるところまでを目指す対応ができる可能性があります。
想定される依頼シーンとしては、①水没でデータが取り出せず、部品交換では起動しないiPad・タブレット、②洗浄しても起動や充電が安定しない水没端末の2つが挙げられます。
診断のみのご依頼にも対応しており、当店ではiPhoneやAndroidのスマートフォンから、iPad・タブレット、Switch・PS5などのゲーム機、ノートPCまで幅広い機種の基板修理に対応しております。機種ごとに依頼先を分けることなく、基板修理の窓口を1社にまとめていただけます。
